アルベニス作曲/ミュール編曲『セヴィリア』~中間部、”サエタ”のこと

こんにちは。


先日ご案内させて頂いたダウンロード販売とサブスクリプションサービスですが、諸事情により一日遅れての開始となりました。

こんなことがあるのですね。。


クラシック音楽、中でもすでに著作権や版権の切れたパブリック・ドメインの作品こそ、こういうサービスをどんどん使うと良いような気もするのですが…。


現在の状況から、今後はクラシック音楽の世界も今までより更にインターネットを介してのオンライン・ツールやサブスクリプションといったITの力が必要になりますし、現時点でもすでにそうですが、「クラシック」という100年、200年前の作品を最新技術や現代の権利下ではどのように扱うべきなのか、知的財産のあり方とは、演奏家の立ち位置とは…。


少し考えてしまった出来事でありました。

もし何かの機会があったら、その時に書いてみようと思います。



さてさて、気を取り直して、せっかくなので今回の収録楽曲の解説を書きましょう。

やはり根っからのクラシック好きとしては、曲の書かれた背景や成り立ちの話しが好きなので。。


ご興味のある方はぜひお付き合い下さい^^



アルベニス作曲/ミュール編曲『セヴィリア』

別にこういうことを知ったからと言って、明日からすぐに音が良くなるとか、指が回るなんてことはありませんが、クラシックの楽曲のほとんど全ては赤の他人が書いたものです。


なので、こちらが作品をさまざまな角度から勉強して、譜面を読み取る努力、そしてそれを演奏に昇華するための努力は怠ってはいけませんよね。

もちろん、私もまだまだ勉強中の身ですので、足りないことは山ほどありますが、それでもせめて努力くらいはしよう!といつも思っていますよ。


…なんだか難しい話しになってしまいましたが、今回のアルバムの1トラック目に収録しましたのは、アルベニス作曲のセヴィリア。


イサーク・アルベニスはスペインの作曲家で、スペインの風土や文化の色濃く反映した楽曲をたくさん残しています。


『セヴィリア』はスペイン組曲という曲集の第1集、その3曲めの曲で、もともとはピアノのために書かれました。

原曲はG-Major、ト長調で書かれていますが、M. ミュールはこれをソプラノ・サクソフォンでそのまま演奏したF-Majorで、サクソフォン四重奏のために編曲しました。


私が子供の頃に初めて聞いた「セヴィリア」も、このミュール四重奏団のレコードをCDに復刻したもので、大変に思い出深い作品の一つです。


さて、お話しを曲に戻しまして。。


YouTubeを探したらイスラエル出身のピアニスト、ハハモフの演奏動画がありました^^



ギターのコードやフレットの移動なんかのイメージを、この演奏から感じられます。

作曲者のアルベニス自身も、ギターの奏法からたくさんのアイディアを得ていたのではないでしょうか💡


特にこの、何度も出てくる8分での3連符(タン♪タリララ~てとこ)の弾き方なのですが、ギターでは一本の弦を一本の指の上げ下げだけで、この音型を演奏できますよね。(譜例)


なので、あまり譜面通りのリズムで杓子定規に演奏しても雰囲気は出ないかな~と思い、私はほんの少しだけ崩して吹いています。


実際に、今度はギターによる演奏をご紹介しましょう。



クラシック・ギターの巨匠、ジョン・ウィリアムスの演奏動画です。


ピアノでもギターでも、この曲は冒頭の明るい旋律と、中間部のもの悲しい旋律との対比がとても印象的ですね。

この動画では、そのもの悲しい中間部は2分15秒くらいからの部分なのですが。。


ギターで演奏すると、情緒はんぱない(ToT)


と、私は感じました。。


また、この場面転換が本当に別世界というか、何というか…。独特で大好きなんですよね。


過去に少し調べたところ、その中間部は「サエタ」という宗教歌、という記載がありました。

その時はなるほどとは思いましたが、今はせっかく暇だし、この記事を書くに当たって「サエタ」というものについてさらに調べました。


『セヴィリア』中間部の旋律は、キリスト教の聖週間、セマナ・サンタで歌われる「サエタ」を表現したもの

まずは、その「サエタ」とは何なのか。


こちらのサイトでとてもわかりやすく紹介されていたので、ぜひ一度お読み頂ければと思いますが、まず、そのサエタとはスペインのお祭り、セマナ・サンタの中で歌われる、ということ。


その、セマナ・サンタとはどんなお祭りなのか。


キリスト教の復活祭、イースターは皆さんご存じのことと思います。

その、イースターの一週間前の期間を聖週間、セマナ・サンタといい、とくにスペイン各地のなかでもセヴィリアではこのお祭りが盛んで有名なのだそうです。


セヴィリアでの年間行事の中でも大規模な宗教行事で、海外からこのお祭りを見に人がやって来るそうです。


このお祭りでは、市内の各教会から豪華に飾り付けられたマリア像とキリスト像を、信者がセヴィリア大聖堂へ持って行くのだそうで、


その行進のことをプロセシオン(行進)と言うのだそうです。



そして、この行進が止まり、バルコニーから歌われるのが、このサエタ

(こちらの動画はセヴィリアではなく、マカレナで撮影されたもののようです)



いかがでしょう?

ここだけお祭りの中でも別世界というか…。


歌詞はキリストや聖母マリアに捧げられる内容だそうで、そこもこの曲の解釈には大切なポイントだと思います。


これまでに、この曲のことをあまり知らない段階で演奏していても、何となくこの中間部には静謐なもの、祈りのようなものを感じてはいましたが、詳細を調べるとよりそのイメージがはっきりしてきますよね。


もしもスペインやその周辺に住んでいる人、住んでいなくてもキリスト教徒だったり詳しい人だったら、


「『セヴィリア』?

はは~ん、きっとセマナ・サンタのことを描いた曲なんだろうな💡」


と思いつくのかも知れませんよね。


西洋に住んでいる人はその文化と地続きの中で西洋音楽について色々なことを学んだり演奏したりできますが、そうじゃない人はやはり自分から知りに行く必要があります。



…と、この記事を書きながらしみじみと反省しました。


私はスペイン人でもキリスト教徒でもありませんが、せめてこの曲を演奏する間だけは、彼らの気持ちに寄り添って演奏できたら、と思います。


再びカルテットの4人で、皆様の前で演奏できる日が来ることを祈って。。


…とまあ、楽曲解説をCDの宣伝につなげるつもりが、なんだか決意表明で終わってしまいました…^^;


次回は収録曲の2&3トラック目のグリーグ作曲、幻想小曲集について書こう…と考えてはいます!

書きます!たぶん!


それでは。



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